秋に起こりやすい疾患とその療法の概略

皆さま、こんにちは。
日本薬局剤研究会の副会長を務めております、福岡県『金岡薬局』金岡正蔵と申します。

日本薬局製剤研究会は、皆さまの「健康維持・増進」に少しでも貢献できますよう仲間同士で日々研鑽を積んでいます。

皆さまへ健康情報をお届けしてまいりますので、少しでもお役に立てれば幸いです。
今回は「秋の疾患と漢方療法」についてお届けいたします。

1.風邪・流感(鼻炎、喘息,咳、痰など)

夏場は暑いので表皮が開き、気管や鼻の負担は軽い一方、秋になると冷えて表皮は閉じ、その分の負担が気管や鼻に直接かかり、鼻炎や喘息症状が出やすくなります。

春先の鼻炎が鼻・眼粘膜の炎症に限定されるのに対し、秋口は〈冷気→皮膚→肺・気管〉及び〈乾気→鼻・咽喉の粘膜→気管〉と呼吸器の奥まで及びやすくなります。

【療法】
小青竜湯、麻黄附子細辛湯、麻杏甘石湯、麦門冬湯、葛根湯、桂枝湯、麻黄湯、小柴胡湯、半夏厚朴湯、麻杏薏甘湯などから症状、体質により選択します。

2.痔

秋に多い病気として痔があります。
肛門は大腸の一部であり、漢方の考えとして大腸は肺と表裏の関係にあるので、やはり秋に影響が出やすいのです。

痔は〈肺-大腸―辛〉の示すように、日頃、辛味性の食品を多く摂る人ほどひどくなりがちですし、遺伝的要因や女性の出産をきっかけに患う場合も少なくありません。

【療法】
当帰芍薬散、桃核承気湯、三黄瀉心湯、乙字湯、桂枝茯苓丸、十全大補湯、防風通聖散、排膿散、補中益気湯、桂枝加芍薬湯、小建中湯など症状、体質により選択します。

3.筋肉痛、関節痛、リウマチ、神経痛

秋口になると日頃、筋肉や骨に弱点のある人は足や手がつったり、筋肉痛や関節痛を起こしやすく、また首の寝違えやギックリ腰になったりします。呼吸器や筋肉・骨の弱い人は、大型台風などの低気圧が近づくと、急激な気圧の変化や冷えに対応しきれないことになります。

【療法】
五積散、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、芍薬甘草湯、麻黄湯、葛根湯、防已黄耆湯、ヨクイニン煎、越婢加朮湯、疎経活血湯、八味地黄丸、桂枝加朮附湯など症状・体質により選択します。

関節痛

以上、「秋に起こりやすい疾患とその療法の概略」を述べさせていただきました。お近くの「日本薬局製剤研究会(JPS)会員店」へご相談いただく際の「きっかけ・参考」になれば幸いです。

金岡 正蔵

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